久しぶりに面白いドラマのAVを見た。ながえSTYLEの真骨頂といえる作品だった。
これまで水商売っぽい雰囲気を醸し出す凛音とうかの作品を見てこなかった。AV女優の好みというより水商売に対する偏見もあるのかもしれない。そしてこのドラマのもう一人の主人公である義父もまたそうした男であった。
彼は元水商売の息子の嫁を「金と性欲で世を渡る性悪女」と軽蔑し忌み嫌う。その「対決」の最初の場面は朝の風景に始まる。だらけ切って本性を垣間見せる嫁が精いっぱい取り繕った朝の支度を嫌悪感を隠そうともせず冷たくはねつける。理不尽な仕打ちだが、ここまでの分は義父の方にある。この嫁の正体は義父が息子に説く通り、金と性欲しか頭にない性悪女なのだ。ただ、往々にしてそうした偏見は正しい。果たして嫁は新聞屋との昼の情事を義父に見つかり、ここで二度目にして全面対決を迎える。出ていけと一喝する義父に対し、ついに嫁も本気の闘いを始める…むろん彼女の武器を用いて。「お義父様、何でもしますから許してください」と全裸で屈服し、妖しく体をくねらせ、体の隅々まで見せる嫁は完全勝利を収める。
こうして息子の嫁を手籠めにした義父はその後もこの性悪女の悪と力を警戒しながら、たやすく絡めとられていく。何十年もの時間をかけた彼の常識や倫理になど何の価値もなかったことに気づきもしないまま、この女を支配しているつもりのまま、完全なる敗北を喫していく。
このドラマはピカレスクロマンである。夫は浮気性で薄っぺらい嘘をつき通す下衆で、そのくせ別れ際になると泣き出す小物である。その浮気相手の女もまた友人から夫を奪って幸せを疑わない身勝手な女である。一歩外に出れば一人前の「いい人たち」であろう彼らの本性が意地悪く描かれる。そんな中でいちばん自分に正直で賢く生きているのは嫁であることに気づかされる。唇をてからせて上目遣いに見上げる「マ○コ顔」は水商売を通じて人間の本性を知ってしまった女の生きていくための決意の擬装なのだ。
字数が尽きて書き切れないが、凛音は天才なのか天然なのか見事な演技。監督は勢いではなく緻密に計算したプロの仕事。あと400字称賛したかった。
この秀作のおかげで凛音とうかの魅力に気づいた。こんな女に溺れるチャンスは一生巡りあえそうにないのはきっと幸運なのだろう。平凡な人生を守ったまま彼女の作品を楽しむのが小悪人にはふさわしい。
ソロ08
2020-11-27